HEART BOILED EXECUTIVE
誰れかのハートにLOVEどっきゅん
少数派のエグゼクティブに捧ぐ
エピソード4
約束 ― I氏に捧げる
与えられた時間は15分。
なぜなら、それが待ち人の体力の限界だったから。
話すべきこと、理解を求めるべきこと。
いつになく汗が滴り、気持ちは昂る。
奥の間で、待ち人の到着を待ちながら、
何から話し始めるかを考えていた。
そして、待ち人はやってきた。
痩せ細った身体、精一杯の歩行。
簡単な自己紹介のあと、本題へと移る。
何から話し始めたのかは、思い出せない。
共通の知人がいること。
同じ志を持っていること。
そこから話に火がついた。
振り絞るように声を発しながら
熱い想いを同じ言葉で繰り返す。
最後に、
「やってみんしゃい、やってみんしゃい。よろしく頼むよ。」
そう言って、席を立った。
それが、待ち人との最初で最後の会話となった。
旧花街の観光まちづくり。
待ち人と交わした約束を守るために、
桜咲く坂道を歩き続ける。
ジョン・ドゥ
ハートボイルドなエグゼクティブ。
完璧主義ではなく、完了主義。
最近、何かと物忘れがひどい。
たとえば、
降車駅で電車から降りるのを忘れたり、
車の運転中に車のカギを探し回ったり、
目の前のクライアントの名前を忘れたり…。
そんな自分を受け入れることで、
明るい未来が待っていると言い聞かせている今日この頃です。